2014.04.10

Microsoftはどこへ向かっているのか?(Build2014)

Buildが終わって情報が出揃った。

Build直前にiOS版Officeが発表されてあらゆる環境にOfficeを提供してOffice365のサブスクリプションで稼ぐ方針が明確になった。Windows8.1Updateでは、今は需要が減っているもののビジネス市場では今後とも必須のツールである従来型PCへのOS供給も重視していることがわかる。またWindowsPhone8.1への更新でiPhone、Androidとほぼ同等の機能を提供できるようになり、小型デバイスへのWindows無償提供とハードウェア要件の緩和でコスト面でも同等の戦力をつけて、後は新興国を中心に売りまくるだけという体勢を整えた。ここまでは従来路線の推進であり、分かりやすい話ばかりだと思う。

一方で、.NETのためのオープンソーステクノロジーの開発,共同作業などを支援するための組織である.NET Foundationの設立がアナウンスされ、手始めとして".NET Compiler Platform"がオープンソース化されることも発表された。Microsoftと言えばプロプラエタリソフトウェアの牙城であり、ハロウィン文書などでオープンソースを批判してきた立場だった。今回のオープンソース化の実態が形ばかりの制限されたものという可能性はあるものの、公開するという姿勢への180度転向が何を目指すものなのかがわからない。

Windows関連のソースが公開されたとしても結局はWindowsの開発環境で開発するので、Linux系の開発企業をすぐに呼び込めるわけではない。また、開発リソースとしてオープンソース開発者を呼び込まねばならないほどMicrosoftは追い込まれていないはずで、逆にオープンソースに不慣れなMicrosoft社内技術者が、無駄な軋轢を生む可能性もある。そういったリスクを推してでもオープンソース化を決断した理由は何なのか?もしかすると将来のWindows自体のオープンソース化への一里塚なのかとも想像したくなる。OSは無料、サポートが有料というLinuxとIBMのような関係で、ハードウェアから卒業したIBMのようにMicrosoftもOSから卒業するのかもしれない。

バルマー前CEOの"Device & Service Company"からナデラ新CEOの"Mobile First, Cloud First"とスローガンも変化しつつある。素人受けしないがために情報の少ないクラウド分野では、もっと重要な動きが起きているのかもしれない。

気合の入ったキリスト教入門 I II III (来住英俊、ドン・ボスコ新書)

2014.04.07読了
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カトリック神父が語るキリスト教信者が何を信じているのかを解説した本。
「キリスト教とは」と構えた内容ではなく、ざっくばらんに、こんな風に考えてるんですよと語るスタイルで、宗教くささがなく読みやすい。

大きなテーマは「人が人とともに生きることの困難をいかに乗り越えるか」。示されている内容は、ある程度の社会経験を積んだ人にとっては当たり前のこと。それをシステマチックに教義としてまとめたのがカトリックだと言うことだと読んだ。

カトリック信者と言ってもその人のこれまでの経験や宗教へ向かう気持ちの強さなどの要因でいろいろな人がいる。この神父が"自分はこう考える"という内容の理想論ではないありのままの姿を示した本書は、非信者がカトリックを理解するための貴重な解説書になっていると思う。

私本太平記 あしかが帖(吉川英治、青空文庫)

2014.04.02読了

足利尊氏の青年期を描いた時代小説。腐敗、弱体化した鎌倉幕府の終わりの始まりを、地方守護大名時代だった足利尊氏が成長する過程をとおして描いている。途中の女性とのつながりは、今の基準では男性本位過ぎてやや難ありのレベル。足利尊氏については知らないことが多くて、続編を読みたくなった。

2014.03.27

Microsoftのダイナミックな動き

Nokia買収、CEO交代の流れ辺りからMicrosoftの動きが非常にダイナミックになっている。

Windows8のデスクトップ環境向け軌道修正は当然としても、OneNoteのMac版公開とWindows版無料化、近日中のOffice for iOS公開と一気にマルチプラットフォーム化が進む。噂レベルでは.NETのLinux、Android移植版であるMONO環境の開発会社の買収の話まで出ていて、"Microsoftユビキタス"とでも言えそうな動きになっているのは、ようやくOSという製品のコモディティ化を自覚して、巨大企業も巨体を動かし始めたのだろう。

モバイルOSでははなはだしく出遅れたが、モバイルOS自体がコモディティ化し始めた今となっては、大きな失点にはならないようにも思える。クラウドサービスの進化はまだ現在進行形であり、LTE接続が当たり前となる数年後には全く違った戦いが展開されているような気がするが、その形がなかなか想像できないことがもどかしい。

2014.03.16

ストアアプリをウインドウ化 ModernMix

ストアアプリをウインドウ化するユーティリティ。
Windows8を始めた頃に気になっていたが、Surfaceを買ってすっかり忘れていた。21.5"FHDディスプレイを購入するかどうかの事前検討の一環として試してみた。

Modernmix_2

Stardockという会社の製品で、30日間の試用期間がある。ModernMixのサイトの"Get it now" -- "Try it Free!"のリンクからダウンロードしてインストール。Start8というスタートボタンを復活させるユーティリティを一緒にインストールしようとするので注意が必要。またインストール時にメールアドレスの登録が必要。

ウインドウ化した状態でウインドウを小さくすると、フォントも含めて縮小表示ができるのかなと想像していたが、ウインドウを小さくした時の挙動は対象のストアアプリが小さい画面にどのように対応する仕様になっているかで決まるようで、共通した動作ではなさそう。
・StationTVLink
動画を表示する画面では幅約450pixまでどんどん小さくできるが、番組選択画面はある程度以上は小さくできない模様。
・一般的なアプリ(天気、Latermark、NetxGenReaderなど)
ウインドウの幅に合わせてスナップした時のように表示内容が変わる。

ウインドウ化と全画面の切り替えはF10キーのトグルか、ウインドウ右上に表示される選択アイコンで切り替えできる。またアプリ毎にウインドウ化するか全画面とするかを選択できる(デスクトップ画面下のアプリ一覧に登録される"ModernMix"のアイコンから設定画面を起動して設定)。さらに便利なのは、アプリをタスクバーにピン止めできることで、普通のデスクトップアプリと同列に使うことができる。

ただしちょっと不便なのはチャームを呼び出す時には先述のウインドウ右上アイコンからの操作が必要なこと。全画面状態ならばマウスを右端に飛ばせば良かったのだが、チャーム起動アイコンを探さなければならないのが少し面倒。でもWindowsキーと組み合わせたチャームのショートカットを覚えれば問題ないだろう。

全画面表示では情報量が多すぎて使い難かったアプリも、ウインドウを小さくすることで大きなディスプレイでも使いやすくなる。こうやってウインドウ化してみると、ストアアプリの画面サイズは、かなり自由度が高いことがわかる。リリースされたWindows8/8.1としては"ストアアプリは全画面"の原則を守っているが、開発の過程ではウインドウ化を準備していたことが推測できる。来年春といわれているWindows9でのストアアプリのウインドウ表示機能採用は、十分ありうると思う。

これだけの機能で$4.99は十分安い。もう少し使って問題が出なければ購入する予定。

OneNote Mac版リリースとWindows版を含めた無料化

海外サイトに、"今月中にOneNoteのMac版が無料でリリースされ、Windows版も無料化される"との情報が出ていた。つい先日、デスクトップPCで使えるOneNoteが欲しくてOffice2013(Windows)を購入したばかりなので複雑な心境。今になって考えてみると、ほぼフル機能のストアアプリ版が無料化されていたのだから無料化は時間の問題だったのだろう。

Mac版のリリースに併せて各種ブラウザ向けのWebクリッパーもリリースされるようで、Evernoteに対して全面対決するという宣言になっている。OneNoteにするかEvernoteにするかでは散々迷った結果、OneNoteがローカルにもデータを置けること、EvernoteのWindowsアプリのできが今ひとつだった(ストアアプリもデスクトップ版も)ことから、OneNoteで行くと決断した後だったので、その点ではうれしい。

Windows8やSurfaceを手に入れてからOneNoteを使い始めたのだが、なかなかに良くできたアプリで、Mac版があればなあとか、IE以外向けのWebクリッパーがあればなあと指をくわえていた自分にとっては、Office2013を買ったばかりと言う点を除けば、ようやく願いがかなうことになる。

OneNoteはデフォルトではOneDriveにデータを置き、Windows、iOS、Androidに加えて今回のMacと典型的なマルチデバイス-クラウド対応アプリ。企業向けのサーバ系サービスだけでなく消費者向けにも"サービスの会社"に変わるというMicrosoftの強い意志を感じる。ただし先行するEvernoteはプレミアムサービスで儲ける仕組みだったが、Microsoftがどうやって消費者サービスで儲けようとしているのかが良くわからない。

2014.03.13

なぎさ(山本文緒、角川e文庫、Readerストア)

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今を書いた小説を久しぶりに読んだ。

ややこしい親子関係から逃れて暮らしている姿とか、ブラック企業につぶされそうになって何とか立ち直る姿とか、他人事とは思えないストーリー展開に惹かれてグイグイと読み切ってしまった。

終わってみると誰が主人公だったのかがわからなくなる不思議な小説で、テレビドラマを見ているような感覚もある。普通の人はこういう小説やドラマを見て、自分の今の立ち位置を再確認しているのかもと気付いたことがこの本を読んだ収穫だったように思う。

古典、名作もいいけれど、半年に1冊ぐらいはこういう本を読みたいと思う。

2014.03.11

ねじ式(つげ義春、小学館)

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以前から読みたかったのだが、在庫切れで先送りになっていた。

しばらく前の芸術新潮の特集になっていたのを見て思い出した。今回は特集を受けて仕込んだのかAmazonに残りわずかの在庫があってやっと購入。

読んでみると、どこかで見たようなという既視感が離れない。どうしても思い出せないが、1970年代のエロ漫画誌にはこういう作品はたくさんあったのでそれと重なっているのかもしれない。事情通ではないので印象だけで書いているが、ガロという特別な雑誌に載ったために残ったということなのか、つげ義春をまねて描かれたものを読んだことが記憶に残っているのか?

そういえば大友克洋の初期作品もこういう話が多かったなと思いだす。一つのジャンルだったのかもしれない。

2014.02.23

濹東綺譚(永井荷風、青空文庫+達人出版会PDF)

私娼窟での出会いと別れというとあっけないが、本物の恋愛のような疑似恋愛が尊ばれる風俗の世界を、名文を連ねかつそれがエロ抜きで表現されているところがすごいなと思う。その世界を極めた作家ならではの作品なのだろう。ただ、現在の理解力では服装や髪形が意味する微妙なニュアンスは理解できなくてエロを感じることができないだけかもとも感じる。

風俗業界の宣伝とも言えそうな内容のこの作品が、朝日新聞に連載されたというのにも驚かされる。まだ若いメディアだった新聞の許容幅が広かったということか、新聞自体が男性読者しか想定していなかったためなのかなどと推定はしてみるが、当時の事情はわからない。

2014.02.19

手仕事の日本(柳宗悦、青空文庫)

戦前の日本について、手仕事で作られるさまざまなものを紹介した本。

繊維や雑貨などの輸出向け"安物"軽工業が主体になった産業状況を憂いて、優れた手仕事を紹介しその振興と衰退した手仕事の復活を願うという内容。説明不足かつ不用意に断定的な書き方になっていて、何が素晴らしいのかが良くわからないものもあるが、当時の常識に照らすとそれなりに理解できるものだったのだろう。

"無名の職人や農民が作る日本の文化に適合した実用品の中にこそ真の美しさがある"という主張は今でも通用する。しかし当時とは違って工業製品であっても高品質、高度なデザインのものが多くなっていて、必ずしも手仕事である必要はなくなってきているように感じる。現時点では"工業製品を含めた良いもの"を紹介する本が成り立つのかもしれない。

«先生、シマリスがヘビの頭をかじっています!(小林朋道、築地書館)