2015.02.01

世界を戦争に導くグローバリズム(中野剛志、集英社新書)

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2015.01.31 読了

アメリカが助けてくれるという幻想は捨てて、自国での防衛を真剣に考えよという結論は予想通り。現在の世界情勢の事例研究をもとに国際政治学の概要を説明する解説書として、今後の読書ガイドとして使えそう。

アメリカのネオコンもリベラリストも、"自由と民主主義を信奉する"という点では同じ理想主義に属するし、日本では、アメリカとの同盟強化を主張する保守派と戦争反対の左派も、アメリカの軍事力をあてにするという同じ枠内の議論になっているという指摘は、議論の前提を見直す必要になかなか気付けないという点で、原発の賛否と似た構造になっている。

それではどう行動すべきかと考えてみると、あまり選択肢はない。結局のところ、その日が来るまでなにもできなかったという結末が見える。選択を先送りしてユーラシア大陸の果てまで来てしまった日本人には、自分たちの意思で舵を切ることは不可能に思える。

2015.01.20

坑夫(夏目漱石、青空文庫)

2015.01.20読了。

女性問題で家に居られなくなった19歳の青年が、自殺まで考えた家出の途中で鉱山労働者を集めるポン引き(作中では"ポン引き"とされている)に誘われて、関東近郊の鉱山でかろうじて事務職を得て働き始め、5か月後に山を去るまでの経験を語る一人語りの物語。鉱山労働者へは容赦ない偏見を突き付けながらも、その中で例外的な存在の"安さん"との出会いにより、変わっていく姿を書いている。

この"安さん"は"やすさん"なのか、中国、韓国系の"アンさん"なのか?とっさに世の中で普通に暮らせない状態の人物というところから、安重根を連想したが、伊藤博文暗殺よりも坑夫の発表が前だった。

Wikipediaで調べてみると、漱石を訪ねてきた実在の人物の経験談を元にしたルポルタージュのような作品らしい。

2015.01.19

日本の樹木(舘野正樹、ちくま新書)

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2015.01.15読了。

樹木の生存戦略を分かりやすい表現で説明してくれている。植物の見方が一変する魅力的な本だった。樹木の種類ごとにカラー写真が付いていて、具体的にイメージできるのも良い。

常緑高木は長い寿命が期待されるため、幹や根を菌類や細菌類からの侵略に対して丈夫にする必要があり、密度を高める必要がある。そうなると成長速度が低下し、成長の初期には成長の速い樹木に負けてしまって、暗い林床で成長することになる。この場合は常緑樹となって1年中、葉を維持する戦略となる。

落葉高木は常緑高木ほどの密度は必要ではないため、密度を下げて成長を速くする。他の樹木よりも明るい環境で生育できるため、薄く、寿命の短い落葉性の葉を持つ。

中低木は洪水で流される可能性のある河川敷などの短い寿命が有利な場所に生育し、密度は低く、成長が速い。また、大きくなる前に寿命が来るため、小さな間に花や実を付けるする戦略になる。

2015.01.12

イニシエーション・ラブ(乾くるみ、ReaderStore)

2015.01.10読了。

ReaderStoreの2014年上半期ミステリー部門ベストセラーという謳い文句につられて読んでみた。

1980年代の青春ドラマ風という設定は、自分にとって懐かしいものだが、内容は至ってありきたりで、途中にミステリーはどこにも出てこないため、機械的に読み進めるしかない。最後の2行に隠されていた設定は、ああそう、という程度の驚きで、残念な結果。これだけのために読まされたのかと思うと、腹立たしい感じもしてくる。内容が明らかに男性向けの書き方の"昭和の娯楽小説"という感じなので、女性はさらに不愉快な読後感なのではないかと心配になってしまう。

これがベストセラーってReaderStoreはどうなっているのか?

2014.12.22

認知症の「真実」(東田勉、講談社現代新書)

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2014.12.19 読了

認知症患者が薬漬けになっている実態の告発本。アリセプトなどの認知改善薬の効果が限定的であること、レビー小体型認知症では副作用が大きく規定量を使ってはいけないこと、行動・心理症状を抑えるために統合失調症薬が使用されるが、若い患者向けの用量のまま、薬漬けを目的にするような使われ方がされていることなどを訴えている。

認知症と薬の関係の予備知識がほとんどなかったので、薬の使われ方のイメージが得られた点は収穫。でも、「真実」というタイトルながら、これが真実なのかはわからない。医療費というパイの奪い合いをしている他の薬の利権につながる人が書かせたのかもしれないし、医療費全体を圧縮したい財務省のニーズにも適合しているようにも見える。介護の質の向上にお金を回すべきとも読めてしまう。

本書の知識をベースにこの先も情報収集を続けなければと思わせてくれる一冊だった。

2014.12.03

クリスマスキャロル(ディケンズ、達人出版会+Reader)

2014.12.02 読了

新訳を達人出版会が青空文庫+SONY Reader向けPDFとしてリリースしている電子書籍。

金銭欲の塊で人嫌い、クリスマスさえ無視する主人公が、クリスマスの夜に過去、現在、未来を象徴する精霊の訪問を受け、金銭的には豊かではなかったが人のつながりはあった少年時代、人から疎まれている現在と他の人達の豊かな人生、孤独死を迎えて財産さえ略奪される将来を見せつけられて恐れおののき、改心するという話。

1834年の本なので大塩平八郎の乱とか天保の改革と同時期。翻訳が最近の新訳であることも影響していると思うが、そんなに古い本には思えない。

里山資本主義(藻谷浩介+NHK広島取材班、角川ONEテーマ21、ReaderStore)

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2014.11.27読了。

表題通りに、木質チップによる発電や自給食糧などにより、地域内でお金でない資源を循環させることで経済を活性化しようという活動を紹介するとともに、その活動が、グローバル経済による経済不安定化への保険としても役立つはずという有益性を訴える本。

前半のNHK記者が書いている部分はミニコミ誌の記事か、セールス資料か何かのような、あまりに調子の良い話が続いていて、こういう状況を知らなかった人の興味をつかもうとする熱意はわかるものの、やや空回り気味。後半の藻谷さんが書いた部分についても、あまりにも楽観的でちょっと違和感を感じる。とはいえ、先日読んだ、資本主義の終わりの本への"回答"のようで、"グローバル資本主義は終わるかもしれないが、ローカル経済は別の基準で回り続けるよ"というメッセージは心強い。

でも、里山資源で生きていくためには、現在の人口はあまりにも多過ぎるのは明らかで、そういう時代は何らかの異変に起因した人口急減がグローバル経済の息の根を止めた時なのかもしれない。

2014.11.24

共同幻想論(吉本隆明、角川ソフィア文庫、ReaderStore)

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2014.11.14読了
遠野物語と古事記の伝承の内容をベースにして、原始社会からの社会の変化を論じている。
おそらくは別の著作物で議論されてきたであろう"共同幻想論"を説明なしに適用して論議を展開しているため、ぼんやりとした意味は理解できるものの、一方的に決めつけた説明になっていて、理解、納得するのは難しい。

当時の文芸誌などの議論を背景にして読めば理解できる内容なのかもしれないが、40年近く経過した現時点では、その背景から調べなければならないという点で、ちょっとかじってみるという読み方には適していないようだ。

思想、哲学などの分野の研究者は、原典の理解に併せて、当時の時代背景や当時の論客の著述などを読み込んで理解し、そこから自分の解釈を作り出すというのが仕事なのだなと、文系の人達にはおそらく当たり前のことを、ようやく実感できた気がする。理系の学問に比べて、何のためにという動機付けがしっかししていないと研究を続けるのは難しく、他者の協力が必須であり、それが"思想の流行"を生む原因なのかなとも感じた。

2014.11.09

深夜特急1--香港・マカオ (沢木耕太郎、ReaderStore)

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2014.10.16読了
日本のバックパッカーのバイブルにあたるような連作の第1作。インドの情景から始まるが、本書は香港、マカオ滞在記。
民主化デモに揺れる現在の香港を見ながら本書を読むと、返還前夜には子供を留学させて安全保障にする話などが出ていて、今、香港で闘っている人達は、脱出しなかった香港を愛する人たちあるいは脱出する資金も伝手もなかった人の子供であり、自分たちが生きていかざるを得ない香港を良くしたいという気持ちがより強いのかもしれないと感じる。
マカオ編は賭博ネタだが、賭博には全く興味がないため、カジノがお金を巻き上げる手口の裏をかこうとするやり取りが面白かった程度。賭博好きの人なら、"よし俺も"という気分になるのかもしれない。
後付け取材で精度を高めているためか、全体に冒険旅行というシチュエーションと詳細な記述とのアンバランスを感じる部分もあるが、その辺りはお約束なのかもしれない。

2014.10.28

Surface2 TypeCover2が壊れた

Surface2でメールを書いていたら、なぜか"ん"が欠落する。おかしいなと思って調べてみると、"N"キーがぐらついている。キーの右端をたたくとそちらが沈み込む。正面から見るとわずかに右下がりにもなっている。"N"キーの裏側を覗き込むと、キーの裏面にあるパンタグラフとのリンクをつなぐ部分が折れているのが見えた。折れた部分は太さ1mm以下の華奢な構造で、軽いキーボードへの不安感が現実になった。
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うまく写真が撮れないが、フック部分が折れている。

購入したのは昨年の12月なので、まだ1年以内の保証期間。TypeCover2のパッケージに入ってた小さな冊子を読むと"www.surface.com/warranty"の指示に従えとあるので開いてみる。明らかな機械翻訳の変な日本語のサイトにとまどうが、未登録になっていたTypeCover2のシリアル番号を登録し、それらしいアイコンをクリックするうちに、「交換するので住所などの情報を登録して、メールで指示する住所へTypeCover2を送れ」との指示が出た。近所のサークルKから着払いで送付。

翌日の夕方、発送したとのメールが届く。予想外に早い対応。

さらに翌日、代品到着。大きな箱で届いた。中には壊れたTypeCover2を送った時の化粧箱と、カバー単品をエアクッション式の封筒+サイズに見合った段ボール箱に入ったTypeCover2が入っていた。色も紫で同じもの。

早速、装着してみたが、やはりキーボードは便利。また重さを測ってみたが本体と合わせて900gで変化なし、全く同じ仕様みたいだ。

原因を考えてみると、(1)と(3)(4)の合わせ技かなといったところ。
(1)ほとんどすべての時間をひざ上で使ってたため、キーボードのたわみによりパンタグラフ部に無理な力が加わった。
(2)知らないうちに落下などの衝撃が加わった(まったく記憶なし)。
(3)設計上の強度不足。
(4)モノのばらつきによる強度不足


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