2014.12.03

クリスマスキャロル(ディケンズ、達人出版会+Reader)

2014.12.02 読了

新訳を達人出版会が青空文庫+SONY Reader向けPDFとしてリリースしている電子書籍。

金銭欲の塊で人嫌い、クリスマスさえ無視する主人公が、クリスマスの夜に過去、現在、未来を象徴する精霊の訪問を受け、金銭的には豊かではなかったが人のつながりはあった少年時代、人から疎まれている現在と他の人達の豊かな人生、孤独死を迎えて財産さえ略奪される将来を見せつけられて恐れおののき、改心するという話。

1834年の本なので大塩平八郎の乱とか天保の改革と同時期。翻訳が最近の新訳であることも影響していると思うが、そんなに古い本には思えない。

里山資本主義(藻谷浩介+NHK広島取材班、角川ONEテーマ21、ReaderStore)

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2014.11.27読了。

表題通りに、木質チップによる発電や自給食糧などにより、地域内でお金でない資源を循環させることで経済を活性化しようという活動を紹介するとともに、その活動が、グローバル経済による経済不安定化への保険としても役立つはずという有益性を訴える本。

前半のNHK記者が書いている部分はミニコミ誌の記事か、セールス資料か何かのような、あまりに調子の良い話が続いていて、こういう状況を知らなかった人の興味をつかもうとする熱意はわかるものの、やや空回り気味。後半の藻谷さんが書いた部分についても、あまりにも楽観的でちょっと違和感を感じる。とはいえ、先日読んだ、資本主義の終わりの本への"回答"のようで、"グローバル資本主義は終わるかもしれないが、ローカル経済は別の基準で回り続けるよ"というメッセージは心強い。

でも、里山資源で生きていくためには、現在の人口はあまりにも多過ぎるのは明らかで、そういう時代は何らかの異変に起因した人口急減がグローバル経済の息の根を止めた時なのかもしれない。

2014.11.24

共同幻想論(吉本隆明、角川ソフィア文庫、ReaderStore)

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2014.11.14読了
遠野物語と古事記の伝承の内容をベースにして、原始社会からの社会の変化を論じている。
おそらくは別の著作物で議論されてきたであろう"共同幻想論"を説明なしに適用して論議を展開しているため、ぼんやりとした意味は理解できるものの、一方的に決めつけた説明になっていて、理解、納得するのは難しい。

当時の文芸誌などの議論を背景にして読めば理解できる内容なのかもしれないが、40年近く経過した現時点では、その背景から調べなければならないという点で、ちょっとかじってみるという読み方には適していないようだ。

思想、哲学などの分野の研究者は、原典の理解に併せて、当時の時代背景や当時の論客の著述などを読み込んで理解し、そこから自分の解釈を作り出すというのが仕事なのだなと、文系の人達にはおそらく当たり前のことを、ようやく実感できた気がする。理系の学問に比べて、何のためにという動機付けがしっかししていないと研究を続けるのは難しく、他者の協力が必須であり、それが"思想の流行"を生む原因なのかなとも感じた。

2014.11.09

深夜特急1--香港・マカオ (沢木耕太郎、ReaderStore)

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2014.10.16読了
日本のバックパッカーのバイブルにあたるような連作の第1作。インドの情景から始まるが、本書は香港、マカオ滞在記。
民主化デモに揺れる現在の香港を見ながら本書を読むと、返還前夜には子供を留学させて安全保障にする話などが出ていて、今、香港で闘っている人達は、脱出しなかった香港を愛する人たちあるいは脱出する資金も伝手もなかった人の子供であり、自分たちが生きていかざるを得ない香港を良くしたいという気持ちがより強いのかもしれないと感じる。
マカオ編は賭博ネタだが、賭博には全く興味がないため、カジノがお金を巻き上げる手口の裏をかこうとするやり取りが面白かった程度。賭博好きの人なら、"よし俺も"という気分になるのかもしれない。
後付け取材で精度を高めているためか、全体に冒険旅行というシチュエーションと詳細な記述とのアンバランスを感じる部分もあるが、その辺りはお約束なのかもしれない。

2014.10.28

Surface2 TypeCover2が壊れた

Surface2でメールを書いていたら、なぜか"ん"が欠落する。おかしいなと思って調べてみると、"N"キーがぐらついている。キーの右端をたたくとそちらが沈み込む。正面から見るとわずかに右下がりにもなっている。"N"キーの裏側を覗き込むと、キーの裏面にあるパンタグラフとのリンクをつなぐ部分が折れているのが見えた。折れた部分は太さ1mm以下の華奢な構造で、軽いキーボードへの不安感が現実になった。
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うまく写真が撮れないが、フック部分が折れている。

購入したのは昨年の12月なので、まだ1年以内の保証期間。TypeCover2のパッケージに入ってた小さな冊子を読むと"www.surface.com/warranty"の指示に従えとあるので開いてみる。明らかな機械翻訳の変な日本語のサイトにとまどうが、未登録になっていたTypeCover2のシリアル番号を登録し、それらしいアイコンをクリックするうちに、「交換するので住所などの情報を登録して、メールで指示する住所へTypeCover2を送れ」との指示が出た。近所のサークルKから着払いで送付。

翌日の夕方、発送したとのメールが届く。予想外に早い対応。

さらに翌日、代品到着。大きな箱で届いた。中には壊れたTypeCover2を送った時の化粧箱と、カバー単品をエアクッション式の封筒+サイズに見合った段ボール箱に入ったTypeCover2が入っていた。色も紫で同じもの。

早速、装着してみたが、やはりキーボードは便利。また重さを測ってみたが本体と合わせて900gで変化なし、全く同じ仕様みたいだ。

原因を考えてみると、(1)と(3)(4)の合わせ技かなといったところ。
(1)ほとんどすべての時間をひざ上で使ってたため、キーボードのたわみによりパンタグラフ部に無理な力が加わった。
(2)知らないうちに落下などの衝撃が加わった(まったく記憶なし)。
(3)設計上の強度不足。
(4)モノのばらつきによる強度不足


2014.10.27

ウォシュレットの水漏れ修理

1階のトイレのウォシュレットからの水漏れを発見。金属メッシュで保護されている水ホースが、ウォシュレットに入ってくる辺りから滲み出している。ここには水フィルタがあり、これが原因と推定して、増し締めしてみたが効果がない。

Webで検索してみると水フィルタのパッキンがへたっているのが原因との記事が見つかった。水の元栓を閉めてフィルタを外してみると、2本の黒いOリングがあり、断面の外周側が平坦になってしまっている。これではOリングの潰し代がなくなってしまってシール機能は低下する。建売を買ってちょうど10年、良く持ったなと思う。

取説を見ると、このフィルタの品番が出ているので、検索してみる。Amazonでは扱いがなくて、楽天で「管材・住設の辻村」という会社が取り扱っている。税別、送料込みで1個215円。週末に注文して、稼働日で2日目に届く。こういう商売はきっと赤字なのだろうと思うが、宣伝がわりのボランティアかなと辻村さんに感謝。
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新品はOリングが細く見えるが、断面は円形で十分に潰し代がある。また、材質が半透明な樹脂に変更されていたり、外から回す部分の溝形状が変わっていたり、溝の奥にマイナスドライバーがはまる溝が追加されていたりと、10年間の間に細かい改良が行われてきたみたいだ。

古いフィルタのOリング周囲に残っていたシリコン系と思しきグリスを新しいフィルタのOリングの外周に塗って組み込み。2日間様子をみて漏れがないことを確認して、修理完了と判断。

心配なのは、他の場所のOリングの状態。今回の場所は脱着可能なので、修理もできるが、内部にあるはずの他のOリングはアクセスさえできない。あるいは、他の場所は接着材やシール材などを使ってメカ部分が壊れる時間程度の寿命を持たせて油漏れの心配をしなくても良い設計にしているのかもしれない。この部位の水漏れは10年程度で発生する設計で、そろそろ買い替えはいかがですかというお知らせ機能だったらすごい設計だけど、そこまでは無理かもしれない。

2014.10.13

野分(夏目漱石、青空文庫)

2014.10.08読了。

同窓生として大学を卒業した後、実業界に入って経済的に成功した人達と、学究肌で教職などについて経済的に苦労している人達の対比を、苦労している人側の視点を中心に、経済的な成功ばかりが評価される時代を批判的に書いている内容。当時の大学生は現在とは比べられないような超エリートだったはずだが、それでもその後の生活は大きく変化していたらしい。

主題とは関係ないが、描写がのちの長編小説の習作のような場面が多数ある。それから(?要確認)での結婚式のシーンやこころでの先生と私のやりとりなど。時系列的には数年後に書かれる作品への前哨なので当然なのかもしれない。

ここまでの作品では、坊ちゃんをはじめとして社会批判的な内容が多かったが、以後の長編からは消えていく。小説で食べていく立場になって大人になったのか、書かせる側の新聞社からの制限なのか、経緯を調べてみたいような気がする。

2014.10.06

国家(プラトン、岩波文庫、上巻1,100+下巻1,100税別)

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2014.09.24 読了

理想の統治形態は"哲人政治"であるという哲学的な議論が主題とされているが、それよりも、議論での国家のあるべき姿が保守系政治家の主張と合致していることが興味深かった。具体的には、死を怖がらずに戦う戦士を養成するためには、戦争への否定的な表現(恐怖や悲しみ)についての詩作や演劇表現は制限し、若き戦士たちがそれらの影響を受けないようにしなければならないという主張など。

一方、すぐれた人が自分から指導者になることはなく、自分より劣ったものの支配を受けることに耐えられない状況になって仕方なく指導者になるという指摘は、2000年以上の時を超えて現在にも通用している。

2014.10.02

資本主義の終焉と歴史の危機(水野和夫、集英社新書、740円税別)

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2014.10.02読了

長期的なゼロ金利は、資本の利潤率ゼロを意味し、グローバル化で世界中が資本主義に組み込まれて、新たな"周辺"がなくなりつつある今、資本主義が崩壊しようとしているという主張。

あまりにも明快ですんなり頭に入ってくる本なので、トンデモ本なのかなとも心配になるが、バブル崩壊を繰り返す最近の経済の動きを見ていて、「本来は不景気が常態なのではないか」と感じ始めていた自分の考えを、資本主義の歴史と重ねて説明してくれる本書には、やっぱりねと納得させられる。

著者が民主党政権の経済ブレインだったと知って、民主党政権の経済政策がほとんど無策だった理由がわかった。経済成長が無意味と諭されては政治家は何もできなくなる。埋蔵金探しに走ったのも経済成長なしに収支を改善する数少ない手段だったのだろう。

歴史上初めての事態への対応方法はわからない。世界経済は慣性力で数十年は、今の仕組みで動くだろうから、自分では新しい世界を見ることはできそうもないのが残念、いや幸せなのかも?

2014.07.06

絶対に受けたくない無駄な医療(室井一辰、日経BP)

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2014.07.04 読了

アメリカで始まっているという、”Choosing Wisely”という、効果のない医療をやめる活動の概要と、個別の治療毎の問題点を説明した本。日経ビジネスオンラインの著者の記事を読んで買ってみた。

アメリカでの活動が本当に各学会が積極的に参加したものならば画期的かもしれない。あるいはオバマケアで国民皆保険が始まるアメリカでの医療費の削減ニーズは大きいはずで、この活動は保険会社や政府などのお金を出す人たちからの圧力を示すもので、各学会の参画は形だけのものなのかもしれない。この本ではアメリカでお金を出す人が、この活動にどのように関与しているかが書かれておらず、その点で信頼性に欠ける。

本当に学会が参画しているのならば、意味のない医療行為はやめる、意味のある医療は非常に高額で低水準の皆保険の範囲では対応しないというシステムにして、実質的に低収入の人達には初歩的な医療だけを提供するシステムを組み上げるという意味なのかなと想像してみたりするが、その辺りも良く分からない。

印象としては週刊誌の特集記事に近い。現にこの著者は健保連と人間ドック学会の判定基準見直しネタで週刊誌に記事を書いたとも書かれている。疑い出せばきりがないが、室井という姓は金沢出身の室生犀星と連想するし、一辰の辰は金沢東方の卯辰山を連想する、そういうペンネームなのだろう。

自宅で死ぬ話の本とならんで、団塊の世代の医療費増大を抑えるがためのプロパガンダ本の一種のような読後感で、ちょっと損した気分になった。

«神様のカルテ(夏川草介、小学館)