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2009.02.07

イカの哲学 中沢新一、波多野一郎

グンゼ創業者の孫で特攻隊の生き残りでソ連抑留者、かつ戦後にスタンフォード大学に哲学を学ぶために留学するという波乱に満ちた人生を生き、40歳の若さで脳腫瘍で亡くなった波多野さんが、亡くなる直前に自費出版した本が、本書と同じ題名の"イカの哲学"。本書にはその内容が全て紹介されている。中沢さんは学生時代にこの本に出会って感銘を受けたが、その内容が最近になって自分の中の別の課題に引っ張られて浮かんできたという。

本の内容はカリフォルニアの海岸ででイカをさばくアルバイト中に、イカをモノとして扱う自分と戦争でモノとして扱われた人間との対比の中から、平和のためには相手の実存を受け止めることが大切だ、ということを悟ったと言う内容。

当たり前と言えば当たり前なのだが、中沢さんの解説にはその続きがある。
動物だった人間は自然からは必要な分だけを得ていた。その過程では一時的に"戦争"状態になって戦うが、戦いが終われば霊を祀って相手の存在を認める手順があった。人間の間の戦争でも近代に至るまではそうだった。

でも、近代以後、人間が自然から根こそぎ奪う(この例として人間がイカを大量に漁獲することがあげられる)ことが当然の権利となり、それは人間の間の戦争にも適用されて、絨毯爆撃や核兵器による根こそぎの破壊である"超戦争"の状態に至っている。波多野さんはその現場を渡り歩いたことにより、そこに平和への課題を見つけたのだが、中沢さんはさらに環境問題解決への課題を見い出している。
欧州的、あるいはキリスト教的な人間第一主義(本の中では単にヒューマニズムと書かれている)の是非が問われているという問題提起だ。このヒューマニズムに遅れて入ってきた日本には、それを修正できる思想世界があってそれが"超平和"としての憲法第9条だと中沢さんは指摘している。

さらにこのヒューマニズムは暴走する資本主義と相まって今の世界を大混乱させている。そろそろ人間社会に"気付き"が来なければならないと思う。このままでは日本は欧米追従を続けて"ヒューマニズム"の時代は続きそうだ。でもこの経済危機を起点にして、新しい思想の潮流が生まれてくるような予感がしている。そこに僕が、日本が貢献できるものが何かを今年の考えるテーマにしたいと決めた。

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