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2009.04.23

うつからの生還 井口英治(はまの出版)

国土交通省技官である著者の5年間に渡るうつとの闘病記と現在うつである人に対しての快方へのアドバイス。
ただし、経歴から逆算すると出版の時点で著者はうつを脱してから数年後なので、再発防止のための処世術の部分が強調されている内容だ。

著者がうつに至る過程は僕の場合とよく似ていて、仕事の負荷急増によるオーバーヒート型だ。少し他人の評価を気にしすぎていて被害妄想気味なところもよく似ている。松澤先生の本にあった"CT画像診断上でうつと統合失調症は双子の病"という説を裏付けていると思う。

ただ、著者の立場は従来の医学の常識によっている。つまり、うつの原因はその人の考え方とか性格にあり、薬で一時的に治すことができても自分の考え方を変えていかないと再発する。だから、処世術としてストレスを溜めない考え方と行動のパターンに変えていこうと訴えていて、認知療法に近いものだと思う。

それはそれで正しいあり方だし、うつが長引いて中途半端な地位で仕事を続けている人にとっては心強いアドバイスだと思う。また、その手段も、今まさに自分が職場にしがみついているやり方そのもので、読んでいく内に、自分と同じような仲間がいるんだという安心感も湧いてくる。ただし、完治を求めるのではなく、うつと共に生きるという観点をもっと強調しても良かったのではないかな、とも感じた。

さらにもう一点、うつの真の原因は考え方などといった文学的な問題ではないということには、この本も触れていない。長引くうつを経験した人なら、ストレスは加速要因ではあるけれど、真の原因ではないということを、身に染みているはず。そういった体の問題の部分について触れられていないのは残念だと思う。医学的に説明されていない内容を素人が本に書くのは非常に難しいという別の問題が理由なのかもしれない。

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