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2011年8月

2011.08.08

藪の中(芥川龍之介、青空文庫+705NK)

黒澤明作品の羅生門の原作。なぜ、映画名が羅生門になったのかを調べてみたが、よくわからず。映画の最初の部分の舞台が羅生門だったからかもしれない。

小説は映画とは違って、武士の最期が明らかにされずに途中で終わっている。黒沢監督がここで終わっている小説の虚しさを埋めるべく、続きを映画にしたのだろうと思う。でも、著者の他の作品からすると、小説の本来の結末はもっと泥臭い救われないものだったのではないかと感じた。

日本人の坐り方(矢田部英正、集英社新書)

茶道の始まった頃の座り方は正座ではなく、立て膝座りだった。正座が始まったのは江戸時代後半、普及したのは明治時代から。など、過去の日本人は多様な座り方をしていたという研究者間での常識を実例を示して解説した本。

面白いのは、現代の着物の身幅では正座をしないと裾が乱れてしまうが、江戸以前の着物は身幅が広く、もっと足を楽に組み替えできたと言う話。おそらくファッション性を理由とした製品の規格が生活に型をはめているわけで、何ともあほらしい状態。あるいは、身幅の狭い晴れ着としての着物のみが残ったということがその理由なのかもしれない。部屋着あるいは寝間着としての着物はあっても良いかなと考えているので、身幅を見直した楽な着物がいろいろ出てきたら試してみたいなと思う。

2011.08.03

第一阿房列車 内田百閒(新潮文庫)

ずいぶん前から読みたかった本。ただ鉄道に乗ることが目的という旅は、僕も好きなタイプの旅。名所旧跡を訪ねるのも良いのだが、移動そのものが"ごちそう"という感覚は良くわかる。

僕の場合は鉄道ではなくて自動車だったが、夜11時を回った頃に突然、"潮岬まで走りたい"とか"高野山の奥の山道を走りたい"という衝動が起こって堺の下宿を12時過ぎに車で出発したことが何度もある。働きだしてからは余裕がなくて衝動も果たせない状況が続いていたが、頭の調子がおかしくなり始めた頃に一度だけ、鹿児島まで(正確には出発時点では目的地が決まっていなかった)の阿房列車をやったこともある。

ただし、この本の旅行は、旅先で著者や"ヒマラヤ山系"氏の知人の出迎えや宴席を受けているので、純粋ではないよなとも思う。ともあれ、移動を楽しむ旅は楽しいことを再確認できた。

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