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2014年1月

2014.01.23

学問のすすめ(福澤諭吉、青空文庫)

・学問のすすめ(福澤諭吉、青空文庫@SONY_Reader、達人出版会PDF)
・2014.01.20 読了

達人出版会の青空文庫PDFを眺めていて偶然見つけたので改めて読んでみた。

実学の大切さ、国民と政府および政府の事業と私企業とのあるべき姿、女性の権利、演説論など多岐に渡る論点について、身近な例を示して述べた本。文語表現で現在は読みにくいが、内容は平易でおそらく当時の人達には読み易い文章だったのでベストセラーになったと思われる。

内容は自身が経験した渡米渡欧で見聞きした西洋の常識を解説したものだが、今の目で見ると西洋礼賛が過ぎて、"受け売り"が過ぎるようにも感じる。最も有名な「人の上に人をつくらず・・・」のくだりも「といわれている」との紹介であってそれが西洋の常識だということを紹介している訳で、「こうあるべき」との呼掛けに近い。

とは言え述べられている内容は現在でも十分通用する民主主義社会のコンセンサスであり、それを明治時代初期に平易な文章で提示したことが評価された理由なのだろう。

しかし、書中で何度か述べられている「人は本質的に平等だが能力の差に起因する貧富の差は別に存在する」という欧米流の平等の定義は百数十年を過ぎても日本には完全には定着せず、絶対平等指向が続いている。この文化史的な理由を調べることは自分にとって面白い読書テーマかもしれないと感じた。

2014.01.07

「昔はよかった」と言うけれど(大倉幸宏、新評論)

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明治から戦前にかけての時代も、日本人が素晴らしい人たちだけではなかったということを、文書記録を元に示している本。自民党の改憲案のような懐古主義への反論を目的として書かれているのだと思うが、はっきりそうだとは書かれていない。多くの事例は現在の類似の事例よりもひどいものが多くて、現在の日本人が最善という印象さえ受ける。

本書を読むまでは江戸、明治期には外国人から高い評価を受けていたという話ばかりをいろいろなメディアで見聞きしてきたため、当時の人達は武士道精神を受け継いで優秀だったのかなというような印象があったが、本書では悪い印象を持つ外国人もいた事例が挙げられていて、発展途上国として普通レベルの社会だった可能性もあることがわかる。日本人にもいろいろな人がいたが、外国人と接した人達はそれなりの教養もあって紳士としての対応ができていたが、そうでない人と接した時にはがっかりしたこともあったということかなと思う。

別の見方として、本書では身内(内輪)に対しては良い行動がとれる人でも公共の場での酷い行いも平気だったとも指摘されており、外国人の印象もその外国人が身内として扱われたのかどうかによっても評価が変わるのかもしれない。

本書で挙げられていない問題として感じたのは、事例についての記事の内容が誇張されている可能性があること。戦前のメディアは新聞も含めて新興勢力であり、今以上に商業ベースで売れることを重視した記事が作られていたはずで、内容が必要以上に脚色されている可能性がある。この点を考慮すると戦前も現在も大差ないのかもしれない。

書評から見つけた本なので、書いてある内容はほぼ予想通りだったが、読み進める途中は予想外にきつかった。ひどい事例をこれでもかと挙げられると、気分が暗くなりもう沢山という気分になってしまう。

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