« 2014年1月 | トップページ | 2014年3月 »

2014年2月

2014.02.23

濹東綺譚(永井荷風、青空文庫+達人出版会PDF)

私娼窟での出会いと別れというとあっけないが、本物の恋愛のような疑似恋愛が尊ばれる風俗の世界を、名文を連ねかつそれがエロ抜きで表現されているところがすごいなと思う。その世界を極めた作家ならではの作品なのだろう。ただ、現在の理解力では服装や髪形が意味する微妙なニュアンスは理解できなくてエロを感じることができないだけかもとも感じる。

風俗業界の宣伝とも言えそうな内容のこの作品が、朝日新聞に連載されたというのにも驚かされる。まだ若いメディアだった新聞の許容幅が広かったということか、新聞自体が男性読者しか想定していなかったためなのかなどと推定はしてみるが、当時の事情はわからない。

2014.02.19

手仕事の日本(柳宗悦、青空文庫)

戦前の日本について、手仕事で作られるさまざまなものを紹介した本。

繊維や雑貨などの輸出向け"安物"軽工業が主体になった産業状況を憂いて、優れた手仕事を紹介しその振興と衰退した手仕事の復活を願うという内容。説明不足かつ不用意に断定的な書き方になっていて、何が素晴らしいのかが良くわからないものもあるが、当時の常識に照らすとそれなりに理解できるものだったのだろう。

"無名の職人や農民が作る日本の文化に適合した実用品の中にこそ真の美しさがある"という主張は今でも通用する。しかし当時とは違って工業製品であっても高品質、高度なデザインのものが多くなっていて、必ずしも手仕事である必要はなくなってきているように感じる。現時点では"工業製品を含めた良いもの"を紹介する本が成り立つのかもしれない。

2014.02.16

先生、シマリスがヘビの頭をかじっています!(小林朋道、築地書館)

Photo

鳥取環境大学教授の生き物観察についてのエッセイ集。

鳥取環境大学は存在さえ知らなかったが公設民営の大学らしい。キャンパスは山の中で動物ネタには満ちあふれているようで、著者はその生活を楽しんでいる様子が見える。

野山で生き物を探したり研究室で飼ったりする様子は、我が家の子供たちが小さかった頃の色々な生き物との出会いを思い出させてくれる。下の子は特に生き物が好きで、著者のような研究者になるかと思っていたが、数学で躓いて文系の大学に進もうとして最後の関門へ格闘中。

この本は数冊のシリーズになっていて全部読むことになりそうな気がする。

« 2014年1月 | トップページ | 2014年3月 »