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2014年4月

2014.04.29

青空のリスタート(富田倫生、青空文庫)

青空文庫創設者である富田さんが亡くなって著作が青空文庫に登録された。それを契機に読み始めたうちの一冊。

この本は、雑誌パソコンマガジンに書いていた「インサイドウォッチャー」というコラムが雑誌休刊に伴って終了した後に、その後の状況についてのやや長いコメントを追加した本。著者の肝炎発症の時期の著作で、コラムだけでなく自分の病状や親との関係についての生々しい記録も含まれている。コラムが連載されていた1990年前後の僕は、仕事やバイクで忙しかったが、それでもまだパソコン関係の雑誌はたくさん読んでいた時期なので、このコラムの啖呵を切るような独特の文体も覚えている(でも、立ち読みだったような気もする)。

現在はNB Onlineなどいくつもコラムを持っている小田嶋隆さんも、当時はBug News Networkというマイナーなパソコン誌というよりアングラ誌に近い雑誌でコラムを書いていて、ちゃんと雑誌を買って読むほどに愛読していたが、富田さん同様に雑誌が休刊になって残念だったことも記憶にある。

この本の中では"その人が背負っている重荷"をあからさま見せられるが、「何かを残せる人はとんでもない重荷を背負っている人の中から選ばれるし、荷物の小さい人は小さいなりの普通の人生を送るもの」なんだなと改めて思う。

2014.04.20

アンドロイドは電気羊の夢を見るか(フレデリック・K・ディック、ハヤカワ文庫)

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GoogleのAndroid端末Nexusシリーズの名前の由来となった小説。作中に出てくる新世代アンドロイドの型式名がNexus6だった。大学時代に映画"ブレードランナー"の原作として注目されていたが、先送りしてすっかり忘れていたものを、GoogleのNexusシリーズの記事から再発見して読んでみた。

日本のロボット物は、役に立つ忠実なロボットの活躍がほとんどだけど西欧文明では批判的に書かれる。根底にキリスト教の人間と神の関係があり、神のつくられた人間でさえ完全でないのだから、ロボットは欠陥があって当然で、欠陥のある人間は恐怖の対象ということか?

2014.04.17 読了

2014.04.10

Microsoftはどこへ向かっているのか?(Build2014)

Buildが終わって情報が出揃った。

Build直前にiOS版Officeが発表されてあらゆる環境にOfficeを提供してOffice365のサブスクリプションで稼ぐ方針が明確になった。Windows8.1Updateでは、今は需要が減っているもののビジネス市場では今後とも必須のツールである従来型PCへのOS供給も重視していることがわかる。またWindowsPhone8.1への更新でiPhone、Androidとほぼ同等の機能を提供できるようになり、小型デバイスへのWindows無償提供とハードウェア要件の緩和でコスト面でも同等の戦力をつけて、後は新興国を中心に売りまくるだけという体勢を整えた。ここまでは従来路線の推進であり、分かりやすい話ばかりだと思う。

一方で、.NETのためのオープンソーステクノロジーの開発,共同作業などを支援するための組織である.NET Foundationの設立がアナウンスされ、手始めとして".NET Compiler Platform"がオープンソース化されることも発表された。Microsoftと言えばプロプラエタリソフトウェアの牙城であり、ハロウィン文書などでオープンソースを批判してきた立場だった。今回のオープンソース化の実態が形ばかりの制限されたものという可能性はあるものの、公開するという姿勢への180度転向が何を目指すものなのかがわからない。

Windows関連のソースが公開されたとしても結局はWindowsの開発環境で開発するので、Linux系の開発企業をすぐに呼び込めるわけではない。また、開発リソースとしてオープンソース開発者を呼び込まねばならないほどMicrosoftは追い込まれていないはずで、逆にオープンソースに不慣れなMicrosoft社内技術者が、無駄な軋轢を生む可能性もある。そういったリスクを推してでもオープンソース化を決断した理由は何なのか?もしかすると将来のWindows自体のオープンソース化への一里塚なのかとも想像したくなる。OSは無料、サポートが有料というLinuxとIBMのような関係で、ハードウェアから卒業したIBMのようにMicrosoftもOSから卒業するのかもしれない。

バルマー前CEOの"Device & Service Company"からナデラ新CEOの"Mobile First, Cloud First"とスローガンも変化しつつある。素人受けしないがために情報の少ないクラウド分野では、もっと重要な動きが起きているのかもしれない。

気合の入ったキリスト教入門 I II III (来住英俊、ドン・ボスコ新書)

2014.04.07読了
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カトリック神父が語るキリスト教信者が何を信じているのかを解説した本。
「キリスト教とは」と構えた内容ではなく、ざっくばらんに、こんな風に考えてるんですよと語るスタイルで、宗教くささがなく読みやすい。

大きなテーマは「人が人とともに生きることの困難をいかに乗り越えるか」。示されている内容は、ある程度の社会経験を積んだ人にとっては当たり前のこと。それをシステマチックに教義としてまとめたのがカトリックだと言うことだと読んだ。

カトリック信者と言ってもその人のこれまでの経験や宗教へ向かう気持ちの強さなどの要因でいろいろな人がいる。この神父が"自分はこう考える"という内容の理想論ではないありのままの姿を示した本書は、非信者がカトリックを理解するための貴重な解説書になっていると思う。

私本太平記 あしかが帖(吉川英治、青空文庫)

2014.04.02読了

足利尊氏の青年期を描いた時代小説。腐敗、弱体化した鎌倉幕府の終わりの始まりを、地方守護大名時代だった足利尊氏が成長する過程をとおして描いている。途中の女性とのつながりは、今の基準では男性本位過ぎてやや難ありのレベル。足利尊氏については知らないことが多くて、続編を読みたくなった。

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