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2014年11月

2014.11.24

共同幻想論(吉本隆明、角川ソフィア文庫、ReaderStore)

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2014.11.14読了
遠野物語と古事記の伝承の内容をベースにして、原始社会からの社会の変化を論じている。
おそらくは別の著作物で議論されてきたであろう"共同幻想論"を説明なしに適用して論議を展開しているため、ぼんやりとした意味は理解できるものの、一方的に決めつけた説明になっていて、理解、納得するのは難しい。

当時の文芸誌などの議論を背景にして読めば理解できる内容なのかもしれないが、40年近く経過した現時点では、その背景から調べなければならないという点で、ちょっとかじってみるという読み方には適していないようだ。

思想、哲学などの分野の研究者は、原典の理解に併せて、当時の時代背景や当時の論客の著述などを読み込んで理解し、そこから自分の解釈を作り出すというのが仕事なのだなと、文系の人達にはおそらく当たり前のことを、ようやく実感できた気がする。理系の学問に比べて、何のためにという動機付けがしっかししていないと研究を続けるのは難しく、他者の協力が必須であり、それが"思想の流行"を生む原因なのかなとも感じた。

2014.11.09

深夜特急1--香港・マカオ (沢木耕太郎、ReaderStore)

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2014.10.16読了
日本のバックパッカーのバイブルにあたるような連作の第1作。インドの情景から始まるが、本書は香港、マカオ滞在記。
民主化デモに揺れる現在の香港を見ながら本書を読むと、返還前夜には子供を留学させて安全保障にする話などが出ていて、今、香港で闘っている人達は、脱出しなかった香港を愛する人たちあるいは脱出する資金も伝手もなかった人の子供であり、自分たちが生きていかざるを得ない香港を良くしたいという気持ちがより強いのかもしれないと感じる。
マカオ編は賭博ネタだが、賭博には全く興味がないため、カジノがお金を巻き上げる手口の裏をかこうとするやり取りが面白かった程度。賭博好きの人なら、"よし俺も"という気分になるのかもしれない。
後付け取材で精度を高めているためか、全体に冒険旅行というシチュエーションと詳細な記述とのアンバランスを感じる部分もあるが、その辺りはお約束なのかもしれない。

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